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第21回 組 織 (2003/8/27)
官能小説のストーリーパターンの一つとして、巨大な組織に凌辱されるヒロインというのがあります。組織は、ヤクザから新興宗教団体までいろんなモノが出てきます。有名な西村寿行「汝怒りもて報いよ」や団鬼六「鬼の花宴」などの作品が思い出されますが、由紀かほる作品でもこのパターンは一つの特徴となっています。特に近年の由紀作品では、「某国」の存在がよくクローズアップされることがあり、由紀作品の大きな特徴の一つとなりつつあります。
由紀作品で描かれる組織には、いくつかのパターンがあります。
まずは、宗教団体モノ。これは、「女豹は夜の狩人」や「<美人アナ>オリーブの鎖」「聖奴の十戒」などが上げられます。実在の団体をモデルにしたのではという描写もありますが、それほどあからさまではありません。次に、セックス売春組織。「牝猫のストッキング」、「スキャンダル・ナイト」「餓狼の生贄」などがそれにあたります。そして、外国、特にアジア系の国家レベルの組織。「若妻肉刑美畜の淫夢」や「聖女の祝杯」「聖奴の十戒」などがそれにあたります。
組織のパターンは違いますが、どの作品も共通点が多く、読後の印象が似ています。まず、多くの場合由紀作品には珍しく男性が主人公となり、組織に立ち向かっていく。結果、複数ヒロインの作品になり、ハードボイルド的なストーリー展開となります。この辺は由紀かほるファンの中でも好き嫌いが分かれるところかも知れません。由紀作品の大きな魅力の一つは、女性視点での心理描写がありますが、ヒロイン自身が組織に立ち向かう「女豹は夜の狩人」「美畜の淫夢」や宗教団体が作品の表に余り出てこない「オリーブの鎖」では気にならないのですが、メインが男性キャラになった作品ではいかんせんその辺が甘くなってしまいます。そう言う意味で苦手な方もいると思いますが、逆にとかく一本調子になりがちな官能小説の中では珍しいくらい、派手なストーリー展開を楽しめることも事実なのです。
セックス売春組織をメインにしたストーリー以外では、実在の団体や国との関係がどうしても気になるところです。特に「某国」は、あきらかに今話題の「あの国」を思わせる際どい描写がある作品もあります。このことに関しては、どうも由紀かほるは、何か思うところがあるのではと思わせられてしまいます。彼がどちらの立場なのかは正直明言は出来かねますが、「あの国」に対して、何か特別な考えのある人なのではと思ってしまいます。
また、もう一つの宗教団体に関しては、人類の歴史上、現在に至るまで、宗教とセックスの関連は非常に深いモノがあると思います。宗教が生と死の問題から裂けて通れない以上、その奧に性の問題が見え隠れしてくるのは当然でもあります。セックスに絡んだスキャンダルを噂される新興宗教が絶えることがない状況で、こうした作品が妙にリアリティを持って感じられてしまうのはそのせいなのかもしれません。
ストーリーに「組織」が絡んでくる作品(特に印象に残っているモノです)
☆女豹は夜の狩人
☆牝猫のストッキング
☆スキャンダル・ナイト@・A
☆美囚クロニクル聖奴の十戒
☆若妻肉刑 美畜の淫夢
☆次回第22回は、「ソープ」の予定です
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